両者の対立は、昨年春のパンデミック対応をめぐる応酬が記憶に新しい。ニューヨーク州で新型コロナウイルスの感染者が増え続けた頃人工呼吸器が不足し、クオモ氏は「連邦政府の協力なしには確保できない」と苛立ちを募らせた一方、当時大統領だったトランプ氏は、「事前に確保しておくべきだった」と一蹴するなど、両者は激しく対立した。
ただ、トランプ氏は当時「基本的に、クオモ知事とはうまくやっている」と強調してもいた。当時の政府職員によると、パンデミック初期に全米の注目を浴びたクオモ氏の記者会見はホワイトハウスでも一目置かれ、率直な語り口と戦略をトランプ氏も参考にしていたという。通常午前11時半頃に行われるクオモ氏の会見とかぶらないよう、ホワイトハウスは会見の時間を夕方にずらしたとも伝えられている。一方のクオモ氏も、表向きには対立姿勢を見せつつ舞台裏ではトランプ氏と1日数回に渡って対話したこともあったという。
実は2人は共に、ニューヨーク市クイーンズ区の出身。トランプ氏が大統領に当選する以前は共にニューヨークで活躍する著名人だったが、2018年、クオモ氏が知事3期目を賭けた選挙活動中、トランプ氏に向け「私はあなたの30年来の知り合いだ。口のうまいセールスマンとして多くの人を騙してきたようだが、私は騙せない」と意味深なメッセージを述べたことがある。実際、クオモ氏が若い頃からトランプ氏と交流があったことを示す、知る人ぞ知るエピソードが幾つか残されている。
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