問題の動画が投稿されたのは今年4月11日。選手たちが試合前、ベンチ前に集まって気合を入れる円陣を組む様子が写っていた。その中心に、声出し役の万波中正選手がいた。万波選手はプロ3年目の若手で、父親がアフリカ・コンゴ人だ。
「一昨日と昨日勝てて、今日勝てば今シーズン初の3連勝ということで、全員で勝ちにいきましょう。さぁ行こう」
万波選手がそう声をかけると、ほかの選手らは「なんで?」「1人でやれ、お前」などと冷めた様子。そんなやり取りの中で、誰かが「日サロ(日焼けサロン)行きすぎだろ、お前」と発言した。このとき、周りにいた選手たちは万波選手を見ており、「それはまずい」と言う声も動画に入っていた。
万波選手は戸惑ったような表情を見せ、何もなかったようにもう一度気合を入れる声出しをした。
動画は最近になって注目され、Twitter上で80万回ほど再生された。中田翔選手が同僚選手に暴力を振るったとして出場停止処分を受けたことが影響しているとみられる。
動画について、ユーザーからは「どう捉えても人種差別発言」「人種差別とパワハラと色々重なってて最悪、残酷すぎる」などと厳しい声が上がった。
球団側は8月18日午前、この投稿を削除し、別の投稿で「誤解を招く可能性のある一部ツイートを削除いたしました」と説明した。
「日サロ」発言の有無などについて日本ハム広報部に取材したところ、以下の回答があった。
「該当の動画を確認し、該当の発言が微かに聞こえることは確認しました。発言している選手の口元の動きまでは分からず、4カ月が経過し、誰が誰に対して、どのような意図で発言しているのかは確認できませんでした。発言が差別を目的とした悪意あるものであったならば看過できませんが、誰がどのような意図をもって発言したものか、確認が取れておりません」
「しかし、憶測や誤解を招く可能性のある内容でもあり、動画を視聴し不快に思われる方もいらっしゃると判断し、本日削除しました。当球団はこれまでも多様性について相互理解が重要であることはしっかりと球団内で教育してまいりましたが、今後も必要な教育と指導を徹底していく所存です」
発言者の特定など、今後の調査については「さらなる調査については検討中ですが、今後とも選手の指導・教育は強化してまいります」と答えた。
https://globe.asahi.com/article/14421401