◆東京五輪 陸上女子200メートル予選(2日・国立競技場)
東京五輪に向けて群馬県前橋市で長期合宿を行っていた南スーダン代表のモリス・ルシア選手(20)が2日、25秒24の2組6着で敗退。準決勝進出とはならなかった。
午前10時38分、その瞬間はやってきた。スタート前、場内に自身の名前がアナウンスされても視線を下に向けたまま、静かに呼吸を整え集中した。序盤から他選手に遅れを取ったものの、パキスタンのナジマ・パルベーン選手(30)に先着しての同組6着でフィニッシュした。
南スーダン選手団は、2019年11月、陸上選手3人とパラ陸上選手1人、コーチの計5人の海外選手団“一番乗り”で来日した。同国は内戦の影響で陸上トラックがないなど競技環境が整っておらず、前橋市が受け入れを開始。同市は、これまでクラウドファンディングやふるさと納税などで、選手団の滞在費を確保し、新型コロナウイルス感染拡大による大会の1年延期後もサポートを続けてきた。
選手村に向けて同市を出発する前の7月16日に行われた壮行会では、市職員や通訳ボランティアらに対して「厳しい毎日を乗り越えられたのは、皆さんのおかげです。前橋市の親切に永遠に感謝します」と来日後に習得した日本語を交えあいさつ。「陸上を始めた時から五輪を夢みていた。国旗を背負い出場することは緊張もしているが、思い切って楽しみたい」と語っていた。
初戦敗退となったものの、約1年8か月の不慣れな日本での生活を乗り越え、母国の平和や希望を背負い挑んだ夢舞台を全力で走りきった。
https://hochi.news/articles/20210802-OHT1T51054.html