サンマ流し網、水揚げゼロで終漁へ 97年の許可制以降初 道東沖
【釧路】8日に解禁された道東沖のサンマ流し網漁で、サンマが1匹も水揚げされない異常事態が続き、十勝、日高両管内の漁協所属の全10隻が9月末までの漁期を残し今年の漁を終える方針を決めた。漁場が道東沖から遠のいていることが要因とみられ、道知事の許可制となった1997年以降、初めて漁獲ゼロで終漁する見通しとなった。
サンマ漁の幕開けを告げる流し網漁は、三陸沖から道東沖へ北上する魚群を小型船(10トン未満)で狙う。道や道東小型さんま漁業協議会(釧路市)によると、今年は広尾漁協(十勝管内広尾町)と大樹漁協(同管内大樹町)、えりも漁協(日高管内えりも町)の所属船計10隻が出漁に向けた道の実地検査を受けていた。
ただ、28日までに出漁したのは広尾漁協の所属船1隻のみ。同漁協によると、この船は11日に出漁したが「サンマを1匹も確認できなかった」ため、漁を打ち切った。残る9隻も近年の不振などを踏まえ、「燃料費をかけて漁をしても採算が合わない」として今季の出漁を断念したという。
サンマ流し網漁は高値がつく序盤の「はしり」のサンマを狙い、10年ほど前まで解禁日には数百隻が釧路港などから一斉に出漁していた。水揚げ量は2003年の3147トンをピークに減少を続け、19年はわずか89キロまで激減していた。
道東小型さんま漁業協議会の大坂秀実専務理事は「漁場が以前より遠のいており、小型船で見つけるのは難しい」と説明する。
8月中旬からは、サンマ漁の主力となる棒受け網漁が本格化するが、20年の道内の水揚げ量は前年比46%減の1万1613トンと2年連続で過去最低を更新している。水産庁は30日、今季のサンマの来遊量の見通しを公表する予定だが、漁業関係者は「流し網漁同様、棒受け網漁も年々漁獲量が減っており、今季も厳しいだろう」と話している。
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