「他人の糞便」を腸内に移植すると新型コロナの回復が早まる可能性、すでに臨床試験もスタート
2020年から流行が続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する治療薬の開発は少しずつ進んでいますが、記事作成時点だと確実な治療法はまだ確立していません。そんなCOVID-19の治療法として、他人の糞便を腸内に移植する「糞便移植(FMT)」が効果的である可能性が指摘されており、臨床試験も予定されています。
The Impact of Fecal Microbiota Transplantation as an Immunomodulation on the Risk Reduction of COVID-19 Disease Progression With Escalating Cytokine Storm and Inflammatory Parameters - Full Text View - ClinicalTrials.gov
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04824222
Rapid resolution of COVID-19 after faecal microbiota transplantation | Gut
https://gut.bmj.com/content/early/2021/06/25/gutjnl-2021-325010
Poop Transplants Have Been Linked to Improved COVID-19 in Two Patients in Poland
https://www.sciencealert.com/two-people-in-poland-had-poo-transplants-and-somehow-their-covid-symptoms-got-better
FMTは腸内の細菌生息分布である腸内細菌叢(ごう)を変化させるという治療法で、患者の免疫に影響を与えるといわれています。本来はクロストリジウム・ディフィシル腸炎のための治療法ですが、糖尿病や潰瘍性大腸炎など他の病気にも効果があるといわれ、近年活発に研究されています。
ポーランドのワルシャワ医科大学の研究チームは、肺炎で入院した80歳の男性と、潰瘍性大腸炎で入院した19歳男性の例を報告しています。2人ともクロストリジウム・ディフィシル腸炎を患っており、抗生物質のバンコマイシンが投与された上でFMT手術を受けました。
しかし、FMT手術を受けた後に2人とも発熱を訴えたため、新型コロナウイルスのPCR検査を行ったところ、FMT手術を受けてから7日後には、両者とも陽性だったとのこと。
患者の2人は、入院前はどちらも新型コロナウイルスのPCR検査で陰性であることがわかっていました。また、FMT用に寄贈された糞便はどれもPCR検査で陰性でした。研究チームは、2人とも病気で免疫力が極端に落ちていたために、運悪く新型コロナウイルスに感染してしまったとみています。ただし、2人ともCOVID-19がそのまま重症化することはなく、発熱も数日で治まり、FMT手術を受けてから30日後にはPCR検査が陰性となりました。
以下ソース
https://gigazine.net/news/20210709-covid-19-fecal-microbiota-transplant/
2021年07月09日 09時00分 GIGAZINE