任期満了に伴う静岡県知事選は20日投開票され、無所属現職川勝平太氏(72)が、4選を果たした。
川勝さんの勝利を受け、リニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区の着工時期は、さらに見通せなくなった。
川勝さんは、トンネル掘削で出る最大500万トンの湧水が山梨側に流出する問題で、
最長20年かけて戻すというJR東海の代替策を認めていない。JRを指導する国土交通省の
有識者会議が近くまとめる見通しの中間報告に、静岡県の訴えがどの程度反映されるかが注目される。
有識者会議は4月、「県外流出しても下流の河川流量は維持される」との中間報告案を示し、
JRの代替策の可否は判断していない。中間報告で県の意向が十分反映されなければ、
県の専門家会議に差し戻され、中下流域の地下水に影響が出ないよう、JRに対策を求めていくことになる。
有識者会議は中間報告に続き、南アルプスの生態系への影響に関する議論に入る。
JRは大井川上流部の地下水が300メートル以上低下すると予測し、希少種の消滅が危惧されている。
川勝さんは選挙中、生態系の維持を訴えており、JRが有効な回避策を示せない限り、決着は難しい。
県職員の一人は「(川勝さんの在任期間の)4年間は静岡での着工はないだろう」と話す。
JRは、当初目標だった2027年の品川―名古屋開業時期を見直す方針を示しているが、
新たな目標は決まっていない。同社は20日夜「知事選についてのコメントは控える。
引き続き、大井川流域の皆さまのご懸念を解消すべく、有識者会議に真摯に対応する
今後、有識者会議の進捗を踏まえ、適切な段階で大井川流域の皆さまへお話しさせていただきたい」
とのコメントを出した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/111781