――6月1日、オーストラリアの女子ソフトボール選手団が群馬県太田市に到着したところを取材する現場では、報道陣の中でのソーシャルディスタンス(対人距離)がゼロだった。五輪が本格的に始まり記者の数も増えたら、どうなるのかと心配になった。
きっと、そういった問題がいろんなところで出てくるんですよ。先ほど話した20%の未接種者との接触の問題もあるだろうし、記者たちのソーシャルディスタンスの管理という問題も出てくる。
太田市の取材では、記者たちをコントロールする人も、組織委員会の人もいなかったですよね? そういうことが、あちこちで起きると想像できる。
さらには、「アンフェア(不公平)」を感じる人も出てくる。コロナ感染の問題とは別に、選手たちが本当に力を発揮できる状況なのかが問われる。
オーストラリアの選手は早めに来日できたが、事前合宿をキャンセルされているチームもたくさんある。また、柔道ではスイスチームが筑波大学で事前合宿をすることになっているが、市や大学側は「来てください。しかし、学生と接触させられません」としている。つまり来日しても練習相手がいない。
しかも今回は、練習パートナーを日本に連れてくることができない。ものすごいハンデです。それは柔道だけでなく、いろんな種目で起きていること。
でも日本人選手は通常の練習や準備をしてから、本番を迎えられる。「ホスト国のアドバンテージ」となるかもしれないが、そういうアンフェアなことがあちこちに出てくる。
アンフェアだけでなく、危険なこともある。本番直前に来日して時差の調整や、日本の夏の暑さに体が順応できないとなったら、屋外競技の陸上などでは危険な事故にもつながりかねない。
そうしたさまざまなことをシミュレーションできているかといえば、今はコロナ対策だけで大変で、手が回っていない。
全文
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/72350-jocjoc-ioc-iocioc-iocioc-ioc-iocjoc-joc_1.php