た。
◇カネで情報は買わない
《圧倒的なスクープ力の裏で、「週刊文春はカネで情報を買っている」と思っている人も少なくない。だが、新谷氏はこれをきっぱり否定する。金銭を支払わなくてもあらゆる情報が寄せられる仕組みとは何だろうか》
女性タレントとの不倫を報じられ、記者会見で頭を下げる宮崎謙介衆院議員=2016年2月12日、東京・永田町の衆院第2議員会館【時事通信社】
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―取材の端緒は。
「文春リークス」という情報提供サイトに送られてくる情報が大きいです。提供される情報がここ数年、質・量ともに飛躍的に上がってきました。
―情報はどのくらい寄せられるのですか。
日々、100件以上は来ています。
―情報提供者には高額な金銭を支払っているのですか。
基本スタンスとして、週刊文春はお金で情報は買いません。記事になった場合、「情報提供謝礼」の形でお金を支払うことはありますが、あくまで常識の範囲内で、高額にはなりません。実際、うちがスルーしたものが他誌に出ていることもあります。
金銭を引き上げるためにデータを改ざんしたり、写真を合成したり、簡単にできる時代です。告発者の「動機」の部分はしっかり見極めないと怖い。
―では、なぜ文春に情報が集まるのでしょう。
せんえつながらブランディングです。「スクープと言えば文春だ」と世の中に認知されれば、告発者が「どこに情報を送れば仕上げてくれるのか」と考えた時、「やっぱり文春かな」と思ってもらえる。
以前、ある現職大臣のスクープの時も文春リークスに投書がきて、「はじめ警察に持ち込もうと思ったが、途中で握りつぶされると思ったので、文春さんに送ります」と書いてあった。非常にありがたい。そこまで信頼してもらえるなら頑張ろうと。
―ブランド化に成功した証しが文春砲だと。
ただ、スクープのイメージが強くなりすぎると怖がられてしまうので、それは嫌ですね。「正義の味方」「人生をめちゃくちゃにする」「プライバシーを暴き立てる」などと、みんなが引いてしまうイメージは持たれたくない。「文春砲」という言葉も皆さんに使ってもらう分にはありがたいですが、自分たちで言ったことはありません。