深海の古い堆積物に残されている化石の調査から、1900万年前に
サメが大量死していたことが明らかになったそうだ。
『Sciece』(6月4日付)に掲載された研究で明らかになったことは、
種の70%以上、個体数の約90%が10万年弱の間に海から姿を消したということだ。
今のところその原因はわからないという。
サメの歴史は古く、約4億年前の古生代デヴォン紀にさかのぼるという。
古生代後期の石炭紀になると、さまざまなグループが現れた。
古生代に現れたサメの多くは、石炭紀からペルム紀ににかけて絶滅し、
現代のサメの原型は中生代に現れたといわれている。
6650万年前、中生代と新生代の境目(K-Pg境界)にあたる時期、
恐竜をはじめとする動植物の75%が絶滅した。5回目にあたる大量絶滅だ。
サメも当然この大量絶滅に巻き込まれたが、なんとか生き延びた。
だがその後、またしても大量絶滅の危機が起きていたというのだ。
サメの激減が発覚したのはまったくの偶然だったという。
アメリカ、ハーバード大学のエリザベス・サイバート氏らは、
深海の堆積物の中に残されている魚の歯やウロコといった小さな化石から、
8500万年にわたる魚とサメの生息数に関する長期的な記録を作り、
この期間にそれらがどの程度増減していたのを調査していた。
すると驚いたことに1900万年前頃からサメの数が突然激減していることが判明したのだ。
種の数は70%、個体数に至っては約90%が減少していたと推測された。
不思議なことに、この時期に地球の気候が大きく乱れたことを示す
古気候学的なデータはまだ見つかっていないという。
だがいずれにせよ、サメが激減したことで海の生態系は大きく変化することになる。
この突然の絶滅の後に新しい種のサメの化石を発見できなかったことから、
種の多様性を取り戻すことができなかった可能性もあるという。
サイバート氏は、今回の発見によってこの時期に注目が集まり、研究が加速することを願っている。
動物や生態系が過去にどのような変遷をたどってきたのか理解が進めば、
環境が大きく変貌を遂げている今日において、それらがどのような影響を受けるのか予測しやすくなる。
ここ数十年で状況に改善が見られるホホジロザメなど一部を除けば、現在サメという種は着実に減り続けている。
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0609/kpa_210609_3379724863.html