見えない予算
借金してでも払え! 税金Gメン取り立て、各地でトラブル
生活苦から税を滞納していた男性が職を失った。強引な取り立てに遭って仕事で使う取引口座を差し押さえられてしまったためだ。取り立て主は市町村ではない。「租税債権管理機構」という聞き慣れない組織。納税の義務は生存権より優先されるのか。自治体に代わって税を集める「税金Gメン」の実態を追った。
分納認めず、財産差し押さえ
男性は茨城県内に住む40代。大手運送会社から委託される配送業務で生計を立てていたが、3月に委託契約を解除された。機構が委託費の振込口座を差し押さえたことで滞納の事実が運送会社に伝わった。「税金滞納者とは仕事できない」。仕事をもらえなくなってしまった。
男性は15年ほど前から建設会社を経営していたが、景気低迷で業績不振が続いた。育ち盛りの3人の子を抱える生活は苦しく、市民税などの納付が困難に。市の担当者に相談したところ、「可能な範囲」での分納が認められた。月に5万~10万円。精いっぱいの額を納税してきた。
状況が一変したのは2009年末。「財産を差し押さえます」という通知書が突然、自宅に届いた。送り主は「茨城租税債権管理機構」。市から委託されて徴収業務を引き継いだという。急いで機構に電話すると、滞納分の約500万円を一括で払えという。「市は分納を認めてくれていた」。これまで通り「可能な範囲」の支払いを申し出たが、取り合ってもらえない。それまでの倍の約10万~20万円を何回か納付したが、機構は容赦なかった。会社の「売掛金」を差し押さえられ、経営は行き詰まった。
配送業務は昨年にようやく見つけた仕事だったが、今回の口座差し…
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https://mainichi.jp/articles/20210602/k00/00m/020/126000c
毎日新聞 2021/6/3 07:00(最終更新 6/3 21:58)