――スウェーデンの集団免疫作戦も失敗に終わった。
集団免疫は、全員が均質で、もともと免疫が全くない状況下において、「1-1/R(基本再生産数)」という理論式で求められる。今、基本再生産数が約2.5といわれていることから、1-1/2.5=0.6、つまり60%の人が免疫を持つと、集団免疫で流行が止まるという仮定になる。
感染が爆発したイタリアの一部でも20%の感染率で、これが3倍になれば死者も3倍以上になる。達成が非常に難しい点が、集団免疫の第一の問題だ。
もう1つ、先ほども述べた免疫が継続する期間も問題になる。新型コロナウイルスはおそらくインフルエンザと同じで、免疫が1年も持たないと思われる。これまでに確認されている他のコロナウイルスは1990年代の実験で免疫が続く期間は8カ月程度とわかっており、SARSとMERSも約1年で免疫がなくなるといわれている。
類推になるが、新型コロナウイルスもこの冬に感染した人は、次の冬も感染する可能性がある。集団免疫を積み上げても、次の冬までにリセットされる可能性があれば、集団免疫作戦に意味はない。