最大の問題は「偽情報」 ワクチンをめぐる在米研究者の警告
（一部抜粋）
科学者までもが偽情報を拡散
「まったくの一般人からワクチン研究をしていた科学者まで、いろんな人が偽情報を流しています。承認欲求、ビジネス目的、信者をつくりたい、愉快犯、所属組織への復讐（ふくしゅう）など、目的はさまざまでしょう」。恐ろしいことに、米国立衛生研究所（NIH）のワクチン研究グループでプロジェクトを率いていた女性までが偽情報発信の中心になっているという。
インペリアル・カレッジ・ロンドン付属の研究所（IGHI）が1月中旬に行った15カ国の世論調査によると、ワクチンを「ぜひ接種したい」または「接種したい」と答えた率は、既に接種が始まっている英国が78％で最も高い。しかし、フランスは39％、日本は33％と低いレベルにとどまる。さらにフランスでは44％、日本では27％が「絶対に接種しない」または「接種しない」と答えている。
コロナの死者数が50万人に近づく米国の状況はどうか。カイザーファミリー財団の1月の調査によると、米国の成人で「絶対に接種しない」と答えた者の割合は13％、「職場や学校などで義務づけられた場合のみ受ける」と答えた割合は7％で、合わせて20％が接種に否定的だ。共和党支持者のほうが忌避率が高い。それは新型コロナに関する偽情報をまき散らしたトランプ前大統領のせいだろうか。
「それもあるかもしれませんが、米国にはもともと科学を信用しないという人は一定数いるのです。進化論を否定する人、地球は平らだと思っている人。信じたいものしか信じない人々です」
「間違ったことを言う人には立ち向かわなければいけない」
それでも、多くの先進国ではワクチン接種を強制することはできない。「先進国の市民は、間違ったことを信じる自由や、論理的に考えない自由もあるんです。私は、それぞれの人が情報をよく理解して納得した上で判断してほしい。だからこそ、間違ったことを言っている人がいたら、我々は立ち向かわないといけないんです」
しかし、偽情報を発信する者を止めることはできない。
「国民全員の情報リテラシーが向上するとか、すべてのメディアが事実と数字を示して全体像をみせる報道をするとか、そんなことは現実的ではありません」
では、どうすればいいのか。
「正しい情報を持つ者が、偽情報に負けないように発信するしかありません。これは戦いです。何度も繰りかえす。感情に訴える。権威のある人に言ってもらう。偽情報の発信者と同じような戦略を取らないと負けます」
全文は以下
https://mainichi.jp/articles/20210213/k00/00m/040/122000c
毎日新聞 2021年2月14日 12時30分(最終更新 2月14日 12時30分)
國枝すみれ