オーストリアの2大スキーリゾートであるザンクトアントンとイシュグル(Ischgl)では昨年3月、45か国からの観光客6000人以上が新型コロナに感染する騒ぎがあった。それにもかかわらず、国内各地のスキー場はクリスマスの頃に、国内旅行者向けに営業を再開。オーストリア政府は、スキーはアウトドアスポーツであり安全だと主張している。
マル村長によるとチロル州では、営業規制で閉鎖中のレストランやホテルでの仕事を探す外国人の在留登録数が急増している。求職者として在留登録することで外国人は合法的にアパートなどを借りることが可能となり、これが入国制限の要件をかいくぐる「抜け穴」となっているという。たとえば、人口2600人の村に、連日20件もの求職者登録があるという。
「私たちの村は封鎖下にある。オーストリアも、世界全体も封鎖状態だ。それなのに、ここ(村)の通りでは見慣れない顔や集団に会う」とマル村長は話した。「日に日に増えている。彼らは皆、ここで何をしているんだ?」
現在のところ、ザンクトアントンで感染者は一人も出ていない。だが、マル村長は旅行客が新型コロナの変異株を持ち込む恐れがあると警戒している。
国内ではすでに、ザルツブルク(Salzburg)州のスキー場1か所を起源とする少なくとも76人の集団感染が起きているほか、チロル州ツィラータール(Zillertal)のスキー場従業員16人が感染し、高齢者施設への感染拡大につながった可能性が指摘されている。(c)AFP