北原みのり「ノーパンしゃぶしゃぶの人だ!」
連載「ニッポン スッポンポンNEO」
2015.9.22 16:00週刊朝日
https://dot.asahi.com/wa/2015091700099.html?page=1
(一部抜粋)
「エンブレム白紙にするって記者会見した人! ノーパンしゃぶしゃぶだよ!」
デザイナーの佐野さんのことじゃない、事務総長の武藤敏郎氏のことだ。1998年、連日のように報道された大蔵省接待汚職事件の時、武藤氏は大蔵省官房長として、国会にも呼ばれ答弁していた。あー思い出してきた!
武藤氏自身がノーパンしゃぶしゃぶ接待を受けたわけじゃない。ただ当時、責任ある立場だったにもかかわらず、自浄能力が全くなく、発言を撤回し続けた姿は記憶の片隅に残ってる。あれは、東電OL殺人事件の翌年だった。エリート女性がガラスの天井にぶつかり、女という性につまずくように破滅していったのに対し、「ノーパンしゃぶしゃぶ」というネーミングのあまりの軽さに言葉を失った。女の裸を介して連帯を深め、お金と人脈を自分たちで分配していく男文化が、バブル崩壊後に明らかになった、日本の経済成長の顔だった。
変わってないのかもね、と思う。ノーパンしゃぶしゃぶ時代と今と。責任を取らない男たちが、人脈で仕事し、お金を無責任に使い、でかいことを語り、結果的に醜態をさらしていく。ノーパンしゃぶしゃぶ系オリンピックなのかもね。