必要なのは自分で考えて必要な行動を取ること
ーー反対声明を出した後、一般からは「じゃあどうすればこの感染症を抑えることができるんだ?本当に罰則作らなくていいのか?」と反発が起きる可能性もあります。それに対して、「こうしたらいいのではないか」という提案はありますか?
まず言っておきたいのは、罰則規定は感染拡大を有効に減らす手段にはならないし、悪化させる可能性が高い。伝家の宝刀のように見えるけど、かえって傷口を広げるからやめたほうがいい。
じゃあどうしたらいいのか、なのですが、やはり一人一人がちゃんと情報を持って、判断して動いてもらうしかない。
よく「どうしたらいいのか教えてくれ」と聞かれるのですが、今必要なのは一人一人が考えて必要な行動を取ることです。
ーーそうですよね。飲食店を夜8時までにしても、昼間おしゃべりしながら複数でランチしていいわけではないのに誤解があります。
そうなんです。結局、「飲んでいいか悪いか」で考えてしまう。感染を広げているメカニズムをちょっと考えたら、寂しいけど一人で飲むか、どうしても複数で飲みたいならオンライン飲み会をすればいい。
別に飲みに行ったらダメだとは言っていない。一人で黙って飲んで帰ってきたらいいのです。ランチでも円卓囲んで大声でおしゃべりしたらいいわけがない。
「コロナは時計を持っていません」と言った小池都知事は表現がうまいですね。
ーー「距離を取る」とか「3密避けろ」は多くの人に浸透したと思います。でも自分の行動にそれが結びついていない。
電車に乗っていても、ほとんどはマスクをしているのです。でもほんの少し鼻マスクの人がいる。今回は無症状の感染者がいるので、ほとんど全ての人がマスクをしないと効果がない。一部それができていない人がいるのが問題なんです。
コロナ対策は、自分が住みたい社会を選ぶこと
ーーその人たちに届けるにはどうすればいいですかね?
おそらく2種類の方法があるんです。
一つは監視国家にすることです。
ーー中国や韓国のやり方ですかね。
台湾もそうですね。韓国などでは違反者の密告制度が広がっています。マスクをつけていない人を写真を撮って送ると、追跡して罰金を取るそうです。
もう一つの方法は、その人が効果的な対策を取れているのか、情報をフィードバックをすることです。
自分がうまくやっているのか判断できない人で感染が起きているのだとすれば、それをわかりやすく伝えてあげるのは一つの手かもしれません。
ーー具体的には?
COCOA(新型コロナウイルス接触確認アプリ)の拡張版のようなものを作って、仲間同士はLINEで繋いでおいて、接触している時間がある程度長くなると、アラームが鳴り始めて気づかせるなどの手段ですね。「密です。密です」と鳴るかですね。
今、自分がやっていることがどういう危険性を持っているかをタイムリーに知らせてあげるシステムはあってもいいかなと思います。
ーー簡単に作れそうですが、そこまで道具に見張られるのも嫌な感覚です。
それはあるでしょうね。
さらに、もう一つ、最終的な考え方としては、普通の感染症扱いにすることです。「広がるならどうぞ広がれ」と、ブラジルに近いことをやる。
ーーお年寄りの死者はたくさん出ますね。
高齢者だけに防御線を張るということです。
ーーどういう社会に住みたいかを選ぶということですね。
「監視社会だけど安全」な社会を選ぶのか