イギリスのロンドン塔には、古くからワタリガラス(レイヴン)が常に6羽住んでいる。
塔に住むこのカラスたちは、王国と要塞を守る大切な存在だと17世紀から伝えられてきた。
ところが、そのうちの1羽がここ数週間行方不明になっているという。
塔の広報担当者は、死んでしまった可能性もあるとしてSNSで伝えたところ
ついに国崩壊の危機が迫っているのか!?と、全英が震えているという。
『Evening Standard』などが伝えている。
ロンドン塔のカラスにまつわる伝承は17世紀に遡る。
当時、イギリスで腺ペストが大流行し多くの死者を出したことで
その死体をついばむカラスが大量に繁殖した。加えて同年代に起こった
ロンドン大火でもカラスの数が増えた。
その時代、イングランド王だったチャールズ2世がカラスの駆除を検討したところ、
とある王室付きの占い師に「カラスがいなくなればロンドン塔は崩壊しイギリスは滅びる」と助言された。
そこでチャールズ2世は、「国と要塞を守るために、ロンドン塔には少なくとも6羽のカラスを置く」と決め、
近衛兵にカラスの世話をさせるようになったという。
以降、何百年もの間、ロンドン塔には常時6羽のカラスが住んでいる。
長い歴史の間には、その数を下回ることもあったが、その都度数を6羽に保つよう補われ、
2018年には塔で繁殖プログラムを開始し、現在は予備のカラスを含め7羽がロンドン塔に住んでいたようだ。
そうした伝説のもと、ロンドン塔のワタリガラスは観光客にも非常に人気がある存在となってきたが、
そんな中、そのうちの1羽が、去年から数週間行方不明になってしまったことが発表された。
ロンドン塔は、1月13日にSNSを介して、女王格だったメリーナというメスのレイヴンが、
クリスマス前から数週間行方不明になっていることを明かした。
塔の広報担当者によると、メリーナは2007年からロンドン塔に住んでいたという。
時に、カラスたちは敷地外へ出ることがあっても、いつもはちゃんと塔に戻ってくるそうだ。
ロンドン塔の護衛兵ヨーマン・ウォーダー(Yeoman Warder)の1人で、
カラスの飼育係「レイヴンマスター」を務めるクリス・スカイフさんは、
Instagramのアカウント『ravenology1』で、ロンドン塔のカラスとの日常を投稿しており、
メリーナの失踪にはとても心を痛めているという。
メリーナがいなくなってしまったことで、6羽のルールが崩れ、国の崩壊を心配する声が多く上がったが、これに対しクリスさんはこう語った。
予備の1羽がいるので大丈夫です。今のところ国は安泰でしょう。今後メリーナの代わりのカラスを補填する予定はありません
なお、野生のワタリガラスは平均寿命が10~15年と言われているが、ロンドン塔のカラスは40歳まで生きることで知られている。
https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52298404/