◆株価暴落すれば国民負担にも
日銀が保有するETFは取得価格でも35兆円と自己資本の3・6倍に上る。巨額なリスク資産の保有は、値動きがそのまま日銀の財務に影響する。3月に日経平均が一時、1万7000円を割り込んだ際は、民間試算で一時3兆円超の含み損が生じた。
その後、株価が回復し含み益に転じたが、株価暴落による日銀の財務悪化の懸念は今後もつきまとう。日銀が損失を計上し政府への納付金が減少すると、政府予算の財源も減るので国民負担につながる。日銀が「爆弾」を手放そうとして、売却に転じれば市場の暴落を招き、自らの首を絞めることになりかねない。
日銀元審議委員の木内登英氏は「買うのは簡単だが、売るのは難しい。将来は受け皿となる機関を作り、日銀の会計からETFを外す正常化策が必要だろう」と指摘する。
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