フランス「処女証明書」禁止に波紋 「過激化対策」法案検討 産婦人科医「女性さらに苦しむ」
イスラム過激思想に関連するとみられるテロ事件が相次ぐフランスで、国民の過激化への対策の一環として、国内の一部のイスラム教徒が利用する「処女証明書」の発行禁止をマクロン政権が検討しており、波紋を広げている。テロと「処女証明書」はどう関係するのか。
9月にパリの風刺週刊紙「シャルリーエブド」旧本社前で男女が切りつけられる事件が起きたことを受け、マクロン大統領は10月2日、過激化対策について演説。国内のイスラム教徒の過激化を念頭に、仏国内でのイマーム(イスラム教指導者)養成や、過激派が運営するとみられる学校や自宅学習の禁止などを内容とする法案成立を目指すことを発表した。AFP通信などによると、政府は「処女証明書」の禁止をこの法案に盛り込みたい考えで、発行した医師には、1万5000ユーロ(約180万円)の罰金と1年の懲役が検討されているという。
ではなぜ、過激化対策に「処女証明書」禁止なのか。「処女証明書」は、結婚前の女性に性交渉の経験がないことを重視する仏国内の一部のイスラム教徒や少数民族ロマが利用している。仏政府は、こうした慣習が女性の尊厳を傷つけ、男女平等の原則から外れていると非難している。地元メディアによると、政府はフランス社会や文化への同化を拒否する「分離主義」がイスラム過激派を助長しているとみており、「処女証明書」もこうした…
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https://mainichi.jp/articles/20201112/dde/007/030/032000c
毎日新聞2020年11月12日 東京夕刊