「経緯はっきりさせる必要ある」 野党、杉田氏招致で一致 与党は拒否 学術会議任命拒否
立憲民主、共産、国民民主、社民の野党4党は5日、国対委員長会談を開き、日本学術会議を巡る任命拒否問題に関与した杉田和博官房副長官の国会招致を求める方針を再確認した。立憲の安住淳国対委員長は記者団に「(任命拒否の)経緯をはっきりさせる必要がある」と指摘したが、政府・与党は「前例がほとんどない」と拒否している。首相官邸主導の人事を総括するキーマンを巡り、与野党の攻防が続いている。
衆参の予算委員会で、菅義偉首相は杉田氏から事前に、新会員候補105人のうち6人を除外するとの報告を受けたことを明らかにしている。会談では、任命拒否問題の解明に向け、杉田氏に直接ただす必要があるとの認識で一致。与野党で開催を合意している衆参の予算委は6日までだが、野党は今後も杉田氏が出席する予算委の集中審議を要求する方針だ。
5日の参院予算委で質問に立った立憲の蓮舫氏も「杉田氏に6人を削る権限はない。どういう経緯で削ったのか、総理の指示は何だったのか。実務を仕切った杉田氏に聞かないと全貌は明らかにならない」と、質問後に記者団に強調した。
杉田氏は警察庁出身で、第2次安倍政権の発足時から官邸事務方トップの副長官を8年近く務める。省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局長を兼任し、官邸主導人事のキーマンだ。
杉田氏を巡っては、「政権に批判的な人物が入っている」として文化庁の審議会委員を差し替えたと、前川喜平元文部科学事務次官が野党ヒアリングで証言している。安住氏は5日の党会合で「最高権力者の首相の上に官僚の副長官がいるのでは。杉田氏がどのような人か国民は見てみたいと思う」と語った。【宮原健太】
毎日新聞2020年11月5日 19時48分(最終更新 11月5日 20時19分)
https://archive.today/0rZlF