――日本の歴史に残るような路上の民主主義として、海外からも注目されました。先生はこの間の安保法制に抗する流れをどうご覧になっていましたか。
フランスみたいだね。とても健全だと思うよ。私は今の若者たちに絶望に近いあきらめがあった。2007年に憲法改正の国民投票法が成立した直後、自民党の中山太郎先生が私の授業に来て「18歳から選挙権が行使できるんだぞ、どう思う?」と問いかけたけど、学生はみんな「いや、困るんですよね。判断できません」と言うんだよ。それが今回は若者が本当に政治的に燃えた。いい意味で裏切られたよね。
――与党は法律の施行後、運用実績を積み重ねようとするでしょう。現実的に法律の廃止は可能でしょうか。
すべての法律は修正案で修正すればいいだけ。野党が一致することで、閣議決定を引っ込めればいいし、違憲な部分を廃止する法律を通せば、海外に行った自衛隊も帰ってくるしかない。自民党が解釈と称して憲法を破壊したこと、議会でまったく問答しなかったこと、この自民党のやり方が許せないという価値観を野党は共有している。政策の違い以前に、議会制民主主義、立憲主義という器を守ろうという話なんです。
今回は世襲議員集団の自民党が貴族のごとく「おまえら下々は黙ってろ」と、論議ぬきで押し切って、議会制民主主義が壊され、憲法が壊れてしまった。日本の大特色は戦後70年戦争したことがないこと。世界史を見てもこんな超大国はない。逆にいえば、憲法9条のおかげで守られたんだよ。それは変節と言われようが、俺も認める。彼らのやった革命に対する反革命は可能なんです。先例なき攻撃が来たんだから、先例なき反撃をするんだよ。
(了)