「人の支配」の国に 憲法学者
■高見勝利・上智大教授(憲法学)
与党が選んだ首相が内閣を組織する以上、与党は首相や内閣の決定を国会で
実現することになるが、それらの決定が仮に憲法違反なら、
政策的に妥当かどうかとは全く違う次元から判断しなくてはならない。
与党議員だからといって、「内閣が決めたから合憲だ」とはならない。
国会議員には憲法尊重、擁護義務がある。憲法の枠を超える法案が出てきた時は、
いくら選挙で選ばれたからといって、国会の多数派がそれを
鵜呑(うの)みにすることは許されない。
にもかかわらず、選挙に勝って衆参両院を支配すれば、憲法の枠組みさえ超えられる
政治になりつつある。政治権力が暴走しないよう、憲法によってこれを縛るべきだとする
立憲主義は、近代国家の一番重要な原則だ。それが根幹から揺らぐ現状は、
日本は「法の支配」ではなく、「人の支配」の国だと見られることを意味する。
http://archive.today/12T4F