──総裁選では党員投票をやらず、国会議員票と各県連票のみで決めると言われています。一般党員からの人気が高い石破さんに不利な条件です。
自民党の党則では、原則として総裁は党員と国会議員の投票で決めることになっていて、その割合は5対5。緊急やむをえざる場合に限り党員投票を行わず、両院議員総会だけで決められるとあります。しかし、今は国会閉会中で、政治的空白が起きるから党員投票をやる余裕はない、という状況ではない。地方党員の投票は基本的に郵送なので、コロナ禍ともあまり関係がありません。
来秋に衆院議員の任期満了、再来年夏には参院議員の任期満了がやってくる。それまでに、どちらも選挙があるわけです。だから今回は特に、国民や党員の意に沿った開かれた方法を採らないと、選挙に影響が出るのではないかと思っています。
──どんな影響が考えられるでしょうか。
現在、自民党は党員数の拡大を目指して総力を結集していますが、党員を勧誘するときのセールストークは「党員になれば、あなたにも自民党総裁を選ぶ選挙権があります」というもの。自民党総裁を選ぶことは多くの場合、総理大臣を選ぶことに等しい。その投票権があります、というのが一つのウリなんですね。いざとなったら、党員投票はやりませんというのでは、詐欺じゃないかと怒る党員もおられるのではないでしょうか。 公平な総裁選びをしなければ、国民から審判を受けることになりかねない、ということです。
(本誌・上田耕司)
※週刊朝日 2020年9月11日号
(おわり)