大不漁でもやっぱりサンマ 秋の主役、復活を
2020年08月29日13時02分
不漁が続くサンマの序盤の漁が、今年はさらに振るわない。北海道の漁港では、例年水揚げが増える8月後半に入っても低調で、価格は高騰。サンマは今や食卓から遠ざかっているが、古くから庶民の味として親しまれてきただけに、水産業者からは秋本番の漁好転を願う声が高まっている。
今年のサンマ漁は、過去最悪だった昨年よりもさらに低迷。主産地である北海道根室市の漁港などでは、8月下旬にようやく水揚げが始まったものの、漁獲量は昨年よりも少なく、不漁が一層深刻化している。
漁獲不振に伴い、東京・豊洲市場(江東区)の取引価格は急上昇。8月下旬の卸値は、主力の130グラム型で1キロ当たり1万5000円、1匹では約1900円と、前年同時期の約5倍に跳ね上がったこともあった。同市場の卸担当者は「家庭で手軽に味わうには程遠い」と厳しい表情を見せる。
生サンマの代わりとして、既に冷凍物を確保している小売店も多いが、不漁による原料不足で「在庫が少なくなっている」と同市場の卸担当者は懸念する。旬の時期が重なる秋サケも、近年は漁獲が減少。小売店では豊漁で価格も安いマイワシを売り込む動きもあるが、「お盆すぎから大量に取れ、飛ぶように売れていたサンマには太刀打ちできない」(都内の鮮魚店)と頭を悩ませる。
水産庁によると、サンマの資源や来遊の減少により、今年の漁獲量は昨年を下回る見通し。深刻な不漁は続きそうだが、「秋の主役といえばやっぱりサンマ。これから身に脂が乗っておいしくなるので、予想を覆してたくさん取れてほしい」(都内の小売業者)とわずかな望みをかけている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082900154&g=eco