新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしたとして、賭博容疑で告発された黒川弘務・前東京高検検事長(63)について、東京地検は10日、不起訴処分(起訴猶予)とした。
賭博罪の成立は認めた上で、賭け金は多額と言えず、処分を受け辞職もしているとした。記者ら3人も不起訴とした。
斎藤隆博次席検事は記者会見し「一般人より重くすべきだという感情は理解できるが、法と証拠に基づいて判断した」と述べた。
地検などによると、黒川氏は緊急事態宣言中の4月13日~5月13日に計4回、東京都内で産経新聞記者2人、朝日新聞社員1人と、1000点を100円に換算する「点ピン」で賭けマージャンをしたとされる。
黒川氏は常習賭博と収賄容疑でも告発されていた。
地検は、4人のマージャンは賭博性を高める特殊なルールを取り入れず、賭け金も多額ではなかったと認定。
頻度も約3年前から月1~3回程度にとどまるとし、常習賭博は成立せず、単純賭博にとどまるとした。その上で、旧知の固定メンバーによる娯楽の延長線上だったとも指摘。
訓告処分を受け、事実関係を認めて辞職した点も考慮し、起訴猶予が相当と判断した。収賄容疑は容疑なしとした。
告発した市民団体は不起訴を不服として検察審査会に申し立てる方針。
黒川氏は2月に定年退官予定だったが、政府が1月末、検察官として前例のない半年間の定年延長を閣議決定。「首相官邸に近い黒川氏を重用する人事だ」と批判が集まる中、週刊誌報道で賭けマージャンが発覚し、5月22日に辞職した。産経新聞社は記者2人を出勤停止4週間、朝日新聞社は社員を停職1カ月の懲戒処分にしている。
https://mainichi.jp/articles/20200710/k00/00m/040/160000c