新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、病気の感染が拡大することだけではなく、「パンデミックに直面した人々がどのように振る舞うか」という社会学的な側面にも大きな影響を与えています。
「COVID-19の感染拡大に対して人はどう行動するべきなのか」を周知させるべく、人気オンラインゲームのWorld of Warcraftの非公式サーバー内で「仮想のウイルスをプレイヤーに感染させる」という試みが行われました。
World Of Warcraft Fan Server Unleashes Days-Long Virtual Plague To Teach Covid-19 Prevention
https://kotaku.com/world-of-warcraft-fan-server-unleashes-days-long-virtua-1842883126
ブリザード・エンターテイメントが開発・運営するWorld of Warcraftは海外で人気の大規模多人数同時参加型オンラインRPGです。
World of Warcraftはブリザード・エンターテイメントが用意する公式サーバーにアクセスしてプレイしますが、ファンがサーバー用アプリケーションをエミュレートする形で運営する非公式なサーバーも存在します。
Elysium Projectのサーバーは、総プレイヤー数はおよそ350万人、週ごとのアクティブプレイヤー数は1万人~1万5000人という特に大規模な非公式サーバーの1つです。
そんなElysium Projectのサーバーで、「Pandemic In Azeroth」と題したイベントが実施されました。
サーバー管理者は、1人のプレイヤーを「Patient Zero(患者0号)」としてウイルスに感染させました。
このウイルスに感染すると、全ステータスが5%、移動速度が10%減少するため、プレイに大きな支障を与えます。
患者0号から急速にウイルス感染が拡大し、イベント開始から15時間で感染者数は2276人、24時間で7000人以上にまで跳ね上がり、その後、ウイルスは最大でアクティブプレイヤーの88%に感染してしまったそうです。
なお、このイベントはプレイヤーに一切の通知なく開始されたとのこと。
そしてウイルスがある程度プレイヤーに感染したのを確認してから、管理者はプレイヤー全員に何が起こっているのかを告知しました。
管理者によれば、導入されたウイルスは人だけではなく、感染者が触った物体にも確率的に付着する仕様だったとのこと。
そして、感染者やウイルスが付着した物体と接触した場合、街に設置された「手洗い石けん」という特別なアイテムを使って手を洗わないと、ウイルスに感染するシステムになっていたそうです。
管理者はパンデミックの恐ろしさをアピールした後、サーバー全体でウイルスの感染をいったんリセットし、「ウイルスに感染したボスを倒すクエスト」を導入しました。
このクエストをクリアするためには、プレイヤー同士が社会的距離を維持すること、顔を覆うマスクなどのアイテムを身につけること、「抗菌クレンザー」などといったアイテムを使うことが推奨されています。
また、症状の診断を行うことで、自分がウイルスに感染したかどうかをチェックできる仕様になっているとのこと。
Elysium Projectのサーバー管理者は「Pandemic In Azerothの最大の目的は教育です」と語り、「350万人以上がプレイするこのElysium Projectのサーバーは、ウイルス感染の恐ろしさを伝える大きなプラットフォームです。私はこの時代に人々に情報を伝え、手助けすることができると感じました」と述べています。
なお、World of Warcraftでは、過去に公式サーバーでのゲーム内で意図せずパンデミックが起こり、低レベルプレイヤーが大量死した事件が発生しています。
この事件は「汚れた血