東京都中野区の内科クリニックは開院した08年当時は事務職員は4人で、うち2人はフリーターだった。いまは事務職員12人のうち常に一日中勤務できるフリーターはゼロ。シフト作成の支援クラウドサービスを導入したが「習熟度がまちまちで機械的に割り振れない」と事務長は話す。
就職氷河期に社会に出た非正規雇用者が年を重ねたこともフリーター減少の理由だ。総務省はフリーターを「パート・アルバイトとして勤務、または勤務を希望する15~34歳」と定めている。
総務省によると、35~54歳の非正規雇用者は19年に約796万人だった。過去20年で6割増え、15~34歳のフリーター(約545万人)を上回った。だが戦力にはなりづらい。人材サービス大手ディップの佐賀野淳執行役員はシニアフリーターは若いフリーターに比べ「体力面でどうしても若手より劣る。正社員の店長より年かさで業務で指示を出しにくいといった面もある」と指摘する。
コンビニなどではITやロボットを活用した業務の効率化を模索する動きもある。だが全てを置き換えるのは難しい。
パーソル総研の小林氏は「付加価値の源泉である接客を、低賃金のパート・アルバイトに頼ってきたこれまでがむしろ異常だった」と指摘する。
安価な非正規雇用に支えられた事業モデルの変革が迫られている。
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