新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、ネット上で「台湾人が中国人によるマスク買い占めを防ぐため、台湾国旗を印刷した」という情報が広がっている。
この情報は誤りだ。国旗が印刷されたマスクは台湾のネット掲示板で「ネタ」にはされていたものの、遅くとも2019年には製造が始まっており、今回のコロナウイルスとの関係はない。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。
https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2020-02/3/6/asset/c7fec37ba9e9/sub-buzz-4647-1580712789-2.png
ネット上で拡散しているのは「台湾人、中国人によるマスク買い占めを防ぐために台湾国旗を印刷」という、まとめサイト「コノユビ」の情報だ。
これは、もともと海外でミームとして広がっているマスクの画像を転載した5ちゃんねるのスレッドを引用したもので、同サイトのTwitterが起点となり拡散。
すでに1万7000件以上リツイート、4万4000件以上いいねされるなど、広がりを見せている。
また、リプライ欄には「それでは韓国人による日本製マスクの買い占めを防ぐためには…」「旭日旗の柄のも作ればいい!!」などと、外国人の排除を煽るようなコメントも相次いで寄せられている。
このマスクがコロナウイルスをめぐる「中国人によるマスク買い占めを防ぐため」に作られたという情報は誤りだ。
実際、BuzzFeed Newsがこのマスクのメーカーサイトのアーカイブを確認したところ、2019年7月22日にはすでに「限定品」としてラインナップに掲載されている。
また、台湾のネットショップでも製造日が2019年7月23日のマスクが取引されており、12月にレビューがついている様子も確認された。1月から本格化した新型コロナウイルスの感染拡大との関係はないことは明白だと言えるだろう。
このマスクは、台湾のオンラインコミュニティ「PPT」で1月29日に取り上げられ、中国でのマスク不足が深刻化するなかで「中国に寄付したら着けてくれるのか?」と議論が白熱。現地のメディアも、その様子を紹介していた。
その後、実際に店舗で販売されていた写真に「台湾人はマスクに国旗を印刷しているので、これを買った中国本土の人は台湾国旗を顔にくっつけることになる」と言及したミームが世界中に広がったとみられる。
そうした「ネタ」が、日本ではなぜか「買い占めを防ぐために国旗を印刷」という情報にすり替わってしまったのだ。
コロナをめぐるデマ、たびたび拡散
新型コロナウイルスをめぐっては、その致死率や治療法、中国人観光客をめぐる情報など、悪質なデマから真偽不明な「善意の情報」まで、さまざまな情報がネット上でたびたび、拡散している。
過度の不安を煽るもの、中国人への憎悪感情や排斥を煽るものも少なくはない。パニックを誘発しやすいタイミングだからこそ、公的機関から発信されていない情報には、注意が必要だ。
「台湾人、中国人のマスク買い占めを防ぐため国旗を印刷」は誤り。新型コロナめぐり、まとめサイトが拡散
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/unknown-cause-china-4