イギリスで国民的人気のコメディ・グループ「モンティ・パイソン」の1人、テリー・ジョーンズさんが21日、亡くなった。77歳だった。遺族と代理人が22日に発表した。ジョーンズさんは2016年に、前頭側頭型認知症(FTD)と診断されていた。
家族は声明を発表し、「優しくて面白い、温かくて創造的で、本当に愛情豊かな人を、私たちは失いました」と述べた。
「この数日間、テリーは妻や子供たち、親類やたくさんの親友に常に囲まれていました。その中でテリーはロンドン北部の自宅で、穏やかに息を引き取りました」と、家族は続けた。
「モンティ・パイソンとの仕事、彼の本や映画、テレビ番組、詩などたくさんの作品は永遠に生き続けます。真の博識の人にふさわしい遺産です」
「楽しく幸せに本物の人生を生きた、彼の言葉を借りるならば『愛を込めてグルコースまみれ』で生きた、稀有な才人と、一緒に過ごせたことに感謝します」
家族はさらに、ジョーンズさんが認知症を患っていたことに触れ、「この病がいつの日か完全に根絶されることを期待しています」と述べた。
:「とてもいたずらな男の子」
大学時代からジョーンズさんと笑いを作り続けたモンティ・パイソンのサー・マイケル・ペイリンは、「テリーは僕にとって、最も親しい大事な親友の1人だった。優しくて思いやり深く、こちらを励ましてくれる人で、人生を満喫することに情熱をかけていた」と、しのんだ。
「ただ単に、同世代の作家、そして芸人として一番面白い1人だったというだけでなく、それをはるかに超えて、完璧に多才なルネッサンス人のようなコメディアンだった。作家、演出家、司会者、歴史家、素晴らしい児童文学作家。そして、彼ほど一緒にいて素晴らしい、温かみのある人はめったいにいない、そういう人だった」
モンティ・パイソンは、1969年からBBCで放送され一世を風靡(ふうび)したコント番組「空飛ぶモンティ・パイソン」や、映画「ライフ・オブ・ブライアン」(1979年)、「人生狂騒曲」(1983年)などで、イギリスの笑いに決定的な影響を与え、国民文化の一部となった。
1942年にウェールズで生まれたジョーンズさんは、オックスフォード大学を経て、友人のペイリンさんと共にモンティ・パイソンに参加。「空飛ぶモンティ・パイソン」や複数のモンティ・パイソン映画で、「ミスター・クレオソート」など数々の人気キャラクターを演じた。「SPAM」が今では「迷惑メール」を意味するようになったきっかけを作った、伝説的なコントにもウェイトレス役で登場した。
イエス・キリストの隣のうまやで生まれた「ブライアン」を描いた監督作品の「ライブ・オブ・ブライアン」では、ブライアンの母親を演じ、「彼は救世主なんかじゃない。とてもいたずらな男の子だよ」という台詞を有名にした。この台詞は今ではイギリスで、慣用句のように何かと使われている。
この映画の公開当時、キリストを冒涜(ぼうとく)するものだと強い反発が複数の宗教団体から起こり、上映を禁止する地域もあった。これについて、監督のジョーンズさんをはじめモンティ・パイソンの面々は「キリストをからかっているのではない」と繰り返し説明していた。
ジョーンズさんは「キリストについてではなく、キリストを信じて従った人たちについての映画だ」として、「キリストが平和や愛についていったい何と言ったのか、お互いの意見がまとまらず、2000年間ずっとお互いを拷問して殺しあってきた人たちについての映画」だと話していた。
この映画の最後に歌われる「Always Look on t