1月2日、3日におこなわれた第96回「箱根駅伝」。青山学院大学が2年ぶりの総合優勝を果たしたことは記憶に新しいが、陸上競技に詳しくない人でも、ピンクと緑の「ナイキ」のシューズがランナーたちの間で大流行していたのは耳にしているのではないか。
今回の箱根駅伝では、出場ランナーのうち約85%がナイキの「ヴェイパーフライ ネクスト%」を着用していた。これまで「アディダス」のサポートを受けていた青山学院大学の選手たちも、全員がアディダスのシューズから「ヴェイパーフライ」に履き替えて出走。結果として総合優勝を勝ち取った。
「ヴェイパーフライ」は、クッション性のある厚底のソールに、反発を受けやすいカーボンプレートが入っていることで速く走れると言われている。
「2019年の箱根駅伝、9月のマラソン・グランド・チャンピオンシップでナイキのシューズを履く選手が多かった印象はありましたが、今回のように群を抜いてシェアを独占するのは驚きでした。それほど、選手たちはこの靴の優位性を感じているということでしょう」(陸上ライター)
実際、区間賞を獲得した選手10人のうち、9人が「ヴェイパーフライ」だ。
唯一、それ以外の靴で区間賞を獲得したのは、創価大学の10区・嶋津雄大選手(4年)だった。嶋津は区間賞だけでなく、従来の区間記録を19秒更新。タスキを受けた時点で11位だったチーム順位も9位に押し上げ、創価大に初めての箱根駅伝シード権をもたらした。
その嶋津の足元に注目すると、なんとロゴも何も入っていない謎の「白シューズ」を履いている。足袋のようなハイカットは今までのランニングシューズでほとんど見たことがなく特徴的だ。
大会では数人の選手がこの奇妙な「白シューズ」を着用していたが、詳細は語られていない。ただ、「ミズノが作っているらしい」という噂が一人歩きしていた――。
そこで、ミズノ広報にこの「白シューズ」について問い合わせると、「あれはミズノの “プロトタイプ” のシューズです」と初めて公に答えたのだ。
「ナイキのシューズに対抗するため、開発を早めてプロトタイプを投入し、事前の試し履きテストでも高い評価をいただいてました」とミズノ広報は明かす。箱根駅伝で7選手が着用したという「白シューズ」は打倒・ナイキへの秘策ということだ。
ナイキの「ヴェイパーフライ」は、反発性の高いカーボンプレートで一世を風靡しているが、「白シューズ」も「反発性の高さが特徴」という。ただし、カーボンプレートは入っておらず、ミズノが独自に開発したプレートや新素材を採用しているという。
かつて放送されたドラマ『陸王』(TBS系)を彷彿とさせる “足袋ふう” デザインにした理由については、「開発品のため、これ以上の詳細はお伝えできません」とのこと。だが、その性能については相当な自信を持っていることがうかがえる。
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