沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、海底の地盤改良工事について検討・助言する防衛省の「技術検討会」の委員が二〇一六~一八年度、改良工事に伴う設計変更を請け負った建設コンサルタント「日本工営」(東京)から別事業で報酬を受けていたことが本紙の調べで分かった。同社は委員の助言を設計に反映する立場にあるが、同社から資金提供を受けていた委員が設計変更案について「お墨付き」を与えたことになる。
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技術検討会を巡っては、辺野古の関連工事を受注した建設会社二社が三委員に計五百七十万円の奨学寄付金を提供していたことが本紙報道で明らかになり、検討会の公正性が揺らいでいる。
各委員が所属する大学などへの情報公開請求で、報酬が確認できたのは渡部要一・北海道大大学院教授。開示文書によると、渡部氏は一六~一八年度、日本工営が主催した埋め立てを伴う飛行場建設の検討会議などの委員を務め、報酬が出ていた。金額は非開示で、日本工営も明らかにしなかった。
渡部氏は「委員会等の委員就任には、所属機関の承認が必要で厳しく管理されている」とコメントした。渡部氏は辺野古の関連工事を受注した東洋建設から百五十万円、準大手ゼネコンの関連財団から五十万円の奨学寄付金も受けていた。
技術検討会の委員で、国土交通省の外郭団体「港湾空港技術研究所」領域長の森川嘉之氏も一六~一七年度、日本工営主催の飛行場建設の検討会議に計五回出席、対価として計九万二千円が出ていた。森川氏は研究所を通じ「旅費を除き、個人として謝金は受け取っていない」と回答した。
日本工営は渡部、森川両氏について「土質分野の知識・経験が豊富な先生として、弊社から技術指導を依頼した」と答えた。
日本工営は一九年七月、日本港湾コンサルタント(東京)との共同企業体(JV)で、随意契約により辺野古の設計変更業務を四億六千八百万円で受注。技術検討会の議論や助言を設計変更に反映する。技術検討会に提出する資料や沖縄県に申請する設計変更に必要な書類も作成する。
辺野古の工事変更案は日本工営など二社が防衛省と作成。同省によると、二社の担当者は技術検討会の会合にも同席している。費用は当初計画の三倍近い九千三百億円に膨らみ、工期も倍の十六年に延びたが、検討会は昨年十二月、変更案を了承した。二社は今後さらに設計の詳細を詰める。設計がまとまれば防衛省が沖縄県に変更を申請する。
◆検討会への影響ない
<防衛省整備計画局の話> 各委員の研究活動は所属先の規則に従い、適切に処理されていると考えており、検討会の議論に影響を与えるものではない。防衛省は各委員の研究活動を逐一把握する立場にはない。
東京新聞:<税を追う>辺野古工費膨張 技術委員、設計業者から報酬:社会(TOKYO Web)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202001/CK2020010702000129.html