鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事が3日、再選を目指し正式に立候補を表明した。
2016年7月の知事選で自民、公明の両党が支援した現職を破り初当選した三反園氏。県政初の民間出身知事として、引き続き県政のかじ取り役へ意欲を示す。
その一方で、前知事や国会議員、県出身の官僚、大学関係者らの擁立が取り沙汰されており今後、知事選への動きが活発化しそうだ。
「県民の生活を少しでも良くしたいという思いだ」。三反園氏は県議会での立候補表明後、記者団の取材に再選を目指す動機を語った。
前回の知事選では無所属で各政党の県組織と連合鹿児島に支援を要請。反原発団体と脱原発の政策協定を結び、野党の県組織から支援を受けた。
今回も無所属だが、自民党と公明党に推薦を求める考えを示した。「県政推進に当たって支援を賜ってきたので」と三反園氏。
早速、両党の県議団に推薦への力添えを求めたことを明らかにした。
三反園県政スタート時は野党だった県議会最大会派の自民党県議団。藤崎剛会長は「団の中でも三反園氏への評価は分かれる」と語る。
ある自民県議は三反園氏が公務を相次ぎ直前キャンセルしたことなどを踏まえ、「知事として資質に疑問符が付く」と指摘する。
しかし、別の自民県議は「子育て支援やトップセールス、外国との交流などよくやっている。精力的に地方に出向き、県民の意見をくみ上げる姿勢を続けてほしい」と評価。
公明党県議団の成尾信春団長も「高校生へのピロリ菌検査導入など要望に応えてくれている」とし、正式な推薦要請があれば検討するとした。
三反園氏は就任直後、九州電力に川内原発の即時一時停止を求める強硬な姿勢が注目を集めたが、その後「私に稼働させる、させないの権限はない」と後退。「脱原発」が変節したとの批判もある。
前回は支援した社民系県議らでつくる県民連合の柳誠子会長は「原発の姿勢が違う方向に向いた以上、支援できない」ときっぱり。
三反園氏と「脱原発」で政策合意し知事選への立候補を見送り、今春の県議選で初当選した平良行雄氏(共産)は「原発立地県として原発が争点にならない知事選はあり得ない」と語り、候補擁立を示唆する。
戦後の歴代鹿児島知事で再選されなかった知事はいない。「本来なら2期目を目指す現職が圧倒的だが、次の知事選ではどうなるか分からない」との声が鹿児島県政界にくすぶる。
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