【AFP=時事】ロシアで、トラとの間で奇妙な友情を育み有名となった雄ヤギのチムール(Timur)が死んだ。
飼育していたサファリパークの園長が8日、明らかにした。
ロシア極東の港湾都市ウラジオストク(Vladivostok)郊外のプリモルスキー(Primorsky)サファリパークのドミトリー・メゼンツェフ(Dmitry Mezentsev)園長はAFPに対し、「11月5日にチムールの心臓が止まった」と語った。
チムールは5歳前後だったとみられる。
メゼンツェフ氏によると、チムールはトラのアムール(Amur)とけんかになった後、健康が悪化していた。
ただ同氏は、チムールは自然死したと説明している。
チムールは2015年、アムールの生き餌として同パークに連れてこられ、同じ飼育場に入れられた。
だがアムールは、自分を怖がる様子をまったく見せないチムールを襲うことはなく、2頭はすぐに親友となった。
同じ飼育場で眠り、食事をし、じゃれ合う2頭の物語はロシア人の心をつかんだ。
アムールはチムールに獲物の捕らえ方を教えようとし、2頭はふざけて頭で互いを突いたり、追いかけっこをしたりした。
トラやヒョウの研究者であるメゼンツェフ園長は当時、2頭の奇妙な友情はまさに奇跡だとし、人間も互いにもっと親切になるようにとの「天からのお告げ」だと語っていた。
だがチムールは成長するにつれ大胆になり、アムールに挑むようになったことから、友情にほころびが生じた。
メゼンツェフ氏によると「チムールは約1か月にわたってトラに嫌がらせをしていた」という。
2016年1月、チムールに踏みつけられたアムールは我慢の限界に達し、チムールをつかんで高台から投げ飛ばした。
2頭は引き離されたものの、チムールの健康はその後悪化。
チムールは治療のため首都モスクワに移送されたが、完全に回復することはなかった。
アムールは現在も元気で、サファリパーク内で飼育されている。
サファリパークは、チムールの墓に銅像を建てることを計画している。
【翻訳編集】AFPBB News
https://news.livedoor.com/article/detail/17354254/