【国際】 「だれでもしていることだ。適当に写せば大丈夫」 ~医学論文“パクりのパクり”で6代目、内容“伝言ゲーム”化…中国
医学大学生2人の調べで、中国の医学専門家25人が、1990年代に書かれた1篇の論文を次々に写して、 「自分の研究」として論文で使っていたことが分った。最初の論文を「第1代」とすると、 「6代目」の論文まで存在するという。中国青年報が報じた。
医大生ふたりは「中大学子」のハンドルネームで、医学界における「論文の写し」問題をインターネット上で告発。 「管理部門に鑑定と、権威ある判定を願う」と求めた。ふたりは、「他の分野だったら、学術研究が混乱し、 経済的な損失が発生するかもしれない。医学では、人命に直接かかわる恐れがある」と批判した。
ふたりが最初に発見した「写し論文」は2007年に発表されたもので、1996年発表の論文を90%以上、使っていたという。 調べを進めると、1997年に発表された子宮手術にかんする論文は、25人の研究者や現職医師が次々に利用を繰り返し、 「6代目」まで存在することが分った。
単なる丸写し以上に問題なのは、データを勝手に書き加えるケースがあることという。 元の論文では「うち1例は、治療1年後に妊娠した」と書かれていた部分が、ある発表者は「うち1例は、治療1年後に男児を妊娠した」、 別の発表者は「うち1例は、治療1年後に女児を妊娠した」と書きなおした。
「30例においては」を「20例」に、「22.7%」を「22.5%」に、「出血量は500ミリリットル」を「600ミリリットル」、 「1年後に妊娠」を「2年後に妊娠」となおした例もある。
論文を写したとみられる例は、他にも多く存在した。「作者」に連絡したところ、大部分が「研究対象も同じで手術も同様。 結論も似たようなものになる」、「昔のことなので忘れてしまった」、 「インターネットでは、いい加減に騒いでるだけ」と答え、反省の色はみえなかったという。
医師1人だけが、「とても後悔している。2度としない」と述べた。同医師によると、周囲から、「だれでもしていることだ。 研究成果がないなら、適当に写せば大丈夫」と勧められたという。