薬用など
日本には、ヒトの排泄物およびその関係品に由来する生薬を用いる治療法が存在する。
漢方薬では人や動物の大便・小便が薬または薬の原料として一般的に用いられるが、中国から漢方医学が伝わった日本でも、人糞を使った薬を用いていた。
「人屎(ひとくそ)」の名で『新修本草』や『本草綱目』に収載されており、『和名抄』では「久曽(くそ)」、『多識編』には「比登乃久曽(ひとのくそ)」の名で記載されている。解毒作用が知られており、臨床応用では産後陰脱(産後の子宮脱)のほか、蛇咬(蛇に咬まれた時)、痘瘡(天然痘)、鼻血に用いられた。
人中黄は、甘草の粉末を人糞に混ぜて(或いは竹筒に入れた甘草の粉末を肥溜めに漬けて)作成する。解熱や解毒作用があるとされる[4]。江戸時代の医学書「用薬須知」の6巻(人ノ部)では「大便ノ汁ナリ」と説明されている。
「破棺湯」別名「黄竜湯(おうりゅうとう)」は人糞を乾燥させ粉末にし、煎じて飲み薬とした[5]。
『本草和名』では人屎(ひとくそ)という項で人糞の様々な効能を紹介している[6]。
徳川光圀の命により編纂された『窮民妙薬』では、蚕の糞、鼠の糞、黄牛の糞、猫の糞、馬糞、竹の虫糞、兎の糞、牛の糞、童子の大便と材料は多彩で、「河豚の毒を解す妙薬」の項には人糞を用いる方法が記されている。「胸虫の薬」の項では「童子の大便干し、粉にして丸じ、生姜汁にて用い吉」とある[7]。
『和方一萬方』に「指腫たるを治る方」として「人の糞を器に入れ その上を厚き紙にて張り痛指の入程穴をあけて その内に指をさし入あたたむべし」とある[8]。
『用薬須知続編』の二巻には、人糞を利用したさまざまな薬が記されている。「男子屎尖」(男性の糞の、とがった端の部分)[9]、「熱糞堆」(人の糞が重なり熱くなったもの)[9]、「焼人糞」(人の糞を焼いたもの)[10]の3つである[11]。
昭和以前の民間療法
岩手県軽米町のあたりでは、歯痛が起こるとオガワ(おまる)の内側にこびりついているカスを削り取って虫歯の穴に詰めた(昭和55年)[12]。
秋田県阿仁村中村では、便所の溜の中に竹コを入れておくと節から節までの間にきれいな水が溜まるので、それを悪い物を食べたりきのこにあたったりした時に飲むという[13]。
静岡県小河内では、ミミンダレ(耳だれ)の時、便所つぼ(溜桶)の縁の汁をつけるとよく利くという[14]。
沖縄県伊計島の人によると、バンノウフウ(山に行った後などにできるひどく痒いブツブツ)と呼ぶできものには、使用後のチビヌグヤー(尻ぬぐい)を焼いて、煙をかけた[15]。
全文はソースで
日本における人糞利用 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BA%BA%E7%B3%9E%E5%88%A9%E7%94%A8