◆現場2:駅から徒歩30分の事務所で娘のような若い女性から罵声
「聞こえねぇよ! 声は大きく!!」
中沢氏が名前を名乗ると、娘のような若い女性事務員が怒鳴った。中沢氏が人材派遣会社から「女性が多く楽しい職場」と紹介された埼玉県内の事務所だ。実際に派遣されてみると「化粧品の検品」と言われていた業務内容は、カレンダーの組み立て。時給900円で、交通費も最寄りの駅から送迎もナシ。30分ほどかけ事務所に着き制服に着替えると、木刀のような棒を振り回す大柄の男性に急き立てられた。
「急げよ! モタモタするんじゃねぇよ!!」
体育館ほどの広さの部屋に、10人ほどの中高年派遣労働者が入れられる。ジリリリリとけたたましくなるベル。作業開始の合図だ。現場監督が叫ぶ。
「ベルトコンベアの前に並んで。開始!」
コンベアの前にはカレンダーの台紙や接合具が並んでいるが、説明を受けていないのでうまく組み立てられない。監督の罵声が飛ぶ。
「手が止まってるぞ! 25秒で1個できなければ欠勤扱いだからな。ヤル気あんのか!? いい年して、どうして人並みのことができないんだ!」