■当事者たちはどう答えるか
前出の別の日経関係者はこの説明に首を傾げる。
「Aさんと石油業界再編をスクープした経済部デスクが、10月1日付でトヨタ自動車の総務人事本部付になると内定し、社内に激震が走りました。その件を10日の会議で現場の記者が質問したら、編集幹部はたいした説明もせず『問題はない』という認識。中立性や公平性が保てるのかと危機感を覚える記者は多い」
当事者はどう答えるか。A記者の携帯にも電話したが、取材には応じなかった。
NAM社の代理人は「取材は全てお断りします」。
日経広報室の回答。
「社内調査で記者の行為に倫理上の問題が認定され、諭旨退職処分としました。当社は取材報道に際して中正公平に徹し、取材先とは良識に基づいた健全かつ正常な関係を保つことを定めており、逸脱する行為は処分の対象になります。(トヨタと)守秘義務について協定書を交わしており、メディアの独立性や公平性を損なうことはないと考えます。人材交流は記者教育を目的にしたもので、これまでも複数の企業としています」
日本を代表する経済紙が揺れている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年9月26日号)
(了)