グーグルが現在の最もパワフルなスーパーコンピューターの計算能力を超える量子コンピューターを「初めて」開発した。フィナンシャル・タイムズがグーグルの研究者の論文を確認した。量子コンピューターが誕生すればビットコインは終わるという研究者もいる。
この研究者の論文は、今週、NASAのウェブサイトに一時的に掲載されたが、すぐに削除されたという。
グーグルの量子コンピューターは、現在最も強力なスーパーコンピューターである「サミット(Summit)」が約1万年かけて行う計算をたった3分と20秒で計算できるという。
研究者たちは、「量子超越性」とし、次のようにコメントした。
「現在知られているすべての古典的なアルゴリズムと比較して劇的にスピードアップしたことで、量子の優位性が実験的によって明らかになった。これは、長い間期待されていたコンピューターのパラダイム転換を先駆けるものだ」
この実験は「量子プロセッサーでのみ行われる計算としては初」だという。
現在のところ、「かなり高度な計算」しか行えず、実践的な問題解決に使えるようになるのは数年先だという。ただ研究者たちは、量子コンピューターの普及は「二重指数関数的に」拡大すると予想している。
量子コンピューターとビットコイン
量子コンピューターは1982年に物理学者のリチャード・ファインマンが初めて理論を提唱。現在の暗号化技術は通用しなくなると言われている。
例えば、量子コンピューターの計算力を持ってすれば、第3者が公開鍵から秘密鍵を割り出すことが可能になり、「世界中の全てのビットコインにアクセスできるようになる」と警鐘を鳴らす研究者もいる。
「第1号の量子コンピューターの誕生日が、ビットコインの命日」というわけだ。
ただ、ブロックチェーン技術の人気専門書「マスタリング・ビットコイン」の著者であるアンドレアス・M・アントノプロス氏は、「量子コンピューティングの脅威は、それが1人の利用者にとってのみ利用可能で、他の人に利用可能でない場合にのみ現実的」と解説。
また、ビットコイン関連技術の開発を手がけるブロックストリーム社代表のアダム・バック氏は、検証コスト署名など量子コンピュータに耐性のある技術の開発に取り組んでいる事を明かしている。
ちなみに、量子コンピューターに耐性があるとされるカルダノ(ADA)とIOTAの価格は24時間比で急上昇している。
仮想通貨の生みの親の1人と言われるデヴィット・ショーム氏は、ビットコインからのパラダイム転換を目指して新たなデジタル通貨の発行中で、量子コンピューターによる攻撃にも備えることを明かしている。
https://jp.cointelegraph.com/news/google-reveals-the-first-quantum-computer