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◎新政権樹立にこれほど時間が掛かるのはなぜか
イスラエルでは政治、宗教、民族などで意見が割れており、議会で単独政党が絶対過半数を握ったことはない。4月9日の総選挙後にネタニヤフ氏が組閣に失敗したため、今回やり直し総選挙が行われたが、選挙を巡る混乱は続いている。
ネタニヤフ氏の勢力は極右とユダヤ教超正統派を合わせた議席数が現在55議席となっている。一方、ガンツ氏が率いる左派の議席数は合わせて57議席となる可能性がある。
◎他の主要勢力は何か
極右「わが家イスラエル」を率いるリーベルマン前国防相が連立交渉の行方を左右する可能性がある。リーベルマン氏は極めて宗教色が薄く、安全保障や対パレスチナ問題では非常にタカ派的だ。4月の総選挙後は、ネタニヤフ氏からの連立政権樹立の提案を拒否した。今回はネタニヤフ氏がガンツ氏に連立を持ちかけたことに激怒し、ネタニヤフ氏は「単なる日和見主義者だ」と述べたが、ネタニヤフ支持に転じるかもしれない。
◎ネタニヤフ氏に対する汚職調査の進展具合は
イスラエル検察は警察による長期間の捜査の後、ネタニヤフ氏を3件の汚職容疑で起訴する方針を発表した。検察長官は年内に正式に起訴するかどうか判断する見込み。しかしネタニヤフ氏は10月に開かれる予備審問で起訴に反論することができる。ネタニヤフ氏は不正を否定し、自分は魔女狩りの犠牲者だと訴えている。
ネタニヤフ氏が首相の座にとどまるか、もしくは首相輪番制を導入できれば、法律によれば正式に起訴されても首相を退任する必要はない。ただ、ガンツ氏と連立政権を樹立すれば、政治的にも世論的にも退任の圧力が強まるだろう。
一部のアナリストは、ネタニヤフ氏が起訴の取り下げと引き換えに首相を退任すると持ち掛ける可能性があると指摘している。
◎やり直し選挙の結果が判明するとどうなるか
大統領が各政党の党首と次期首相について協議し、連立政権樹立に最も適すると思われる人物を選ぶ。指名を受ける人物は議席数が最も多い政党から選ばれるとは限らず、指名を受けてから42日以内に組閣を行う。組閣できなかった場合には大統領が別の議員に組閣を依頼することができる。
(続く)