東京新聞:壊れた屋根 無情大雨 畳、布団水浸しどこに寝れば… 台風被害 千葉・鴨川、館山:社会(TOKYO Web)
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ブルーシートで覆われた住宅に強い雨が降り続いた=16日午前、千葉県館山市布良で(山口登史撮影)
台風15号の直撃から一週間がたった十六日、千葉県内は各地で激しい雨に見舞われた。壊れた屋根の修復作業もままならない中、追い打ちをかけるように雨で室内が水浸しになる住宅もあり、被災住民の疲労は高まっている。
十六日に午後五時までの雨量が八九・〇ミリを記録した鴨川市。沿岸部の江見地区にあるカラオケ喫茶店兼住宅の二階寝室で同日午前、根本明さん(77)は妻のせつ子さん(78)と一緒に、発泡スチロールの箱にたまった水をバケツで外に運んでいた。その間にも、天井からたたきつけるような雨音が続いた。
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「朝四時から三十分ごとに、こうやって排水しているんです」
台風で二階建てのカラオケ喫茶店兼住宅は、屋根の一部が吹き飛ばされ、天井に大きな穴が開いた。業者を呼んで屋根にブルーシートを張ってくぎ打ちしてもらい、十五日夜、夫婦は「雨で天井が崩れたらどうしよう」と不安の中で浅い眠りについた。十六日午前三時半ごろから雨が強まり、屋根とシートの隙間を伝って天井の穴から雨水が漏れ続けるように。慌てて床に発泡スチロールの箱をいくつも並べた。
畳や布団は水浸しになり、使えなくなった。ほとんど眠れなかったという根本さんは「このままでは畳が腐ってしまうが、畳を外に運ぶ力は到底ない。いつまでこの状況が続くのか」と途方に暮れていた。
館山市は、十六日に午後五時までの雨量が一二七・五ミリと県内最多だった。漁師町の布良(めら)地区では、停電が続く中、ほとんどの住宅で屋根にブルーシートが張られていた。
市は一世帯につき原則二枚を配布しているが、覆いきれていない住宅も。屋根が丸ごと吹き飛ばされるなど生活が難しくなり、遠方の親族に身を寄せる人もいる中、住民たちは雨漏りの対策に追われた。
漁師の庄司和夫さん(73)の平屋建て自宅は窓が割れ、天井板が吹き飛んだ。他の住宅のブルーシート張りの手伝いなどに駆け回り、十六日も知人などから声がかかるたびに軽トラックを走らせていた。
家具などが散乱した自宅はほとんど手付かずで、物置の二畳ほどのスペースで寝泊まりを続けている。「雨がしのげるだけましな方だが、直すにもどこから手を付けたらいいのか…。頭が回らない」と頭を抱えた。
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