お金をもらってサボる人はいない
アルバイトにボーナスは当たり前
1年中、店舗を回っているから、社員に話しかけるチャンスはたくさんある。それも、別に意識して話しかけようとしているわけではない。小手先の技術を駆使しても、人間はそううまく動いてくれるものではない。
人間はやはり、お金を出さないと働いてはくれない。成果に応じて支払うのは誰でもできるが、成果の出ない人にも同じように払うのは難しい。しかし、払えば、その分だけ人は働いてくれるものだ。基本的に、お金をもらってサボる人はいない。
もちろん、何の成果も求めないわけではない。例えば富士そばの常務には、最低でも2年に1棟は出店先にふさわしい物件を獲得しなければいけない、という決まりがある。ただし、このノルマはみんなで合議の上で決めたもの。常務がそこまで結果を出せないことは考えにくいが、それでもそういうルールを一応設けているのは、人間はある程度のノルマがないと、怠けてしまうものだからだ。
私は人間みんな平等だと考えている。金持ちも貧乏人も、老人も子どもも、男も女も、どっちが上でどっちが下ということはない。だから、アルバイトにも働いた年数に応じてボーナスや退職金を出している。この話をすると、「アルバイトにまでボーナスを出すのですか?」と驚かれるが、むしろ、出さない方が驚きだ。それで、みんなどうやってやる気を出してくれるのだろうか?
アルバイトにボーナスといっても、金額的には最高で10万円くらいと、それほど大きな額ではないし、社員がボーナスをもらえるのならば、アルバイトにも出すのは、むしろ当たり前のことだと思っている。また、富士そばには、売り上げが前年比100%以上を達成した店舗すべてに対して、アルバイトを含めた従業員全員に報奨金を出す制度もある。
店を回る際には必ず、差し入れを持っていく。それも、めったに食べられないようなおいしい物を持っていくように心がけている。最近の定番は、京都の和菓子店「仙太郎」のおまんじゅうだ。行列ができるほどの人気店で、手作りの味がとてもおいしい。