疑惑の「警視庁ストーリー」
関塚氏は昨年、環境事業である上場企業と契約を結ぼうとした際、先方から契約を拒絶された。関塚氏は以前、東証は反社チェックで警察庁とデータベースを共有するという記事を読んだことがあるため、知己の警察OBを通じて「反社会勢力リスト」に自分の名前があるのか照会をかけてもらった。すると「暴力団とつながりのある関係者としてあなたの名前がある」との報告を受けたという。
関塚氏には「あの事件がきっかけかも」と思える出来事がある。
関塚氏は05年、バーテックスリンク(現ストライダーズ)の社長に就任した。バーテックスの子会社が、ヘラクレス上場のアドテックスのアドバイザーとして同社の資金調達のアレンジをした矢先の07年。アドテックスに新しく入り込んだプロレス雑誌の出版社元社長の前田大作氏、山口組系の下村好男元組長らが会社の資金を不正に元組長らの会社に流したとして民事再生法違反容疑で逮捕された。関塚氏によると、下村氏を同社に引き込んだ前田氏を役員に強く推薦したのは創業者の長谷川房彦元社長だったが、警視庁は長谷川氏に告発させ、「前田や下村をアドテックスに引き込んだのは関塚」というストーリーにしたと仄聞したという。
関塚氏はまったくの虚偽話であるので当時は相手にしなかったが、十数年経った今、この虚偽情報で社会から追放されているのであれば黙っておれないとして昨年、内閣総理大臣や法務省、警察庁や日本取引所グループなどに調査を求める手紙を送った。しかし、金融庁から「情報は省内関係各所で共有する」との話があっただけで、他はなしのつぶてだったという。
クレジットカードの信用情報「ブラックリスト」は本人が問い合わせれば登録内容を伝える仕組みが備わっているが、反社リストに問い合わせ先はない。リストに載せられたら最後。消去する手立てがまったくない恐ろしい仕組みなのだ。
(了)