北海道の30代の元局員は営業成績が上がらず、飲み会の場で「給料泥棒」「地方に飛ばすぞ」と叱責(しっせき)された。入社時の指導担当者からも、毎日のように成績をチェックされ「俺が育てた中で一番のクズだ」と罵倒された。
職場では「今日のばあさんは良い人だから、何とか言いくるめてきたわ」などの会話が飛び交い、上司からは「相手はカネだと思え。下手な同情はいらない」と言われた。
「お客さんをだましてまで仕事を続けるべきか」。うつ病になり、1年ほどで退職した。
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外回り局員の年間ノルマは、月額保険料300万円分ほどの契約をとること。毎月の支払いが1万円の保険なら300本が求められる計算だ。
各地区のノルマは1人当たりの金額に所属人数を掛け合わせて計算するため、成績が悪い局員を退職に追い込み、地区全体のノルマを下げようとする幹部もいる。休職中の局員は「上司から『ずっと休んでいてくれ』と指示された」と証言する。
一連の不正営業問題を受け、日本郵便の横山邦男社長は10日の記者会見で、過剰なノルマを見直す方針を示した。だが、その後も現場には厳しい指示が飛ぶ。「報道にかまわずガンガン営業してくださいと指示された」(東京の局員)、「かんぽの商品は営業自粛だが、(委託販売する)アフラックのがん保険のノルマが3倍になった」(北陸の局員)。西日本新聞には連日のように告発が寄せられる。