リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題を巡り、川勝平太知事は26日の定例記者会見で、県環境保全連絡会議の中間意見書に対するJR東海の回答案について「中下流域の補償について答えていない。(流量の)科学的根拠も示していない」として不十分だとの認識を示した。一方、JRが求めた有識者との個別の意見交換は公開の場であれば応じる考えを明らかにした。
JRは12日に県に回答案を提出したが、従来の主張とほとんど変わらない内容で、県関係者には「ほぼゼロ回答だ」との受け止めが広がっていた。
川勝知事は「この回答案では会議は開けないとJRに連絡した」と明らかにした上で、流量減少対策を科学的に議論してきた同連絡会議の委員9人が、個別にJR側と意見交換する場を設ける方針を示した。傍聴できるようにして記録も残す。
県環境局によると、回答案に対する意見は委員の有識者や利水団体などから既に集約しており、来週中にも公表する見通し。その後、委員とJR側と個別の意見交換の場を8月中に数回設定する。JRから正式な回答が出された段階で、全委員を集めた会合を開くかどうか判断する。
また、トンネル準備工事に関連し、大井川をまたぐ電線や水道管を設置するためにJRが県に出した河川占用許可申請の審査が長引いていることについて、会見に同席した太田博文県河川砂防局長が説明。「電線で供給される電力の用途が宿舎に使われるのか、(トンネルの)本体工事につながるのか慎重に審査している」と正当性を主張した。
リニア工事に伴う水問題 川勝知事、JR回答案不十分|静岡新聞アットエス
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