日本企業は「お勉強」海外視察を撲滅せよ。日本人は相手の時間奪う意識が希薄
”未来を変える”プロジェクト by iX(アイエックス) , 岡 徳之 and 行武温
Mar. 07, 2018, 06:00 AM Tech Insider
https://www.businessinsider.jp/post-162871
(前文省略)
座組みなんかどうでもいいから、具体的な「実」を持っていけ
―そんな日本からの視察団に対するアドバイスをお願いします。
とにもかくにも「具体的な話を持ってくる」ということ。こういう案件があって、一緒にやれるところを探したいとか、こういうことをしたいから、これについての知見を持っているところに会いたいとか。
海外のスピード感は、日本人が考えているよりもずっと早い。日本の人って「座組み」を作るのが大好きですよね。こっちの人にとってはそんなの関係ない。持ってきた話が面白いかどうか。面白ければ、「いいね、やろう」で話がまとまります。そうじゃなかったら、「いいね。で、何やるの?」で話が止まってしまいますから。
具体的な話をすれば、かなり前向きに聞いてくれます。例えば、オランダに出店するラーメン屋の店舗デザインをお手伝いしたとき、店内でインスタレーションをやろうという話になって、アムステルダムの「Tellart」という日本のチームラボみたいな会社にその話を持っていきました。お金という意味では案件の規模は小さかったんですが、その場で「クールだね、やろう!」と話がまとまりました。
これまで話したことって、なにも視察にかぎらない話なんですよ。国内の異業種交流会とかオープンイノベーション系のイベントとか、日本の大企業が「とにかく会って何かしよう」っていう場面はたいてい誰がどんな目的意識で意思決定しているか分からない。そのくせ提案だけは何十回もさせられる、みたいな。
日本人のサラリーマンって、世界で独特なんですよ。
相手の時間をもらうことへの意識は超がつくほど希薄。オランダは時給計算社会ですから、相手と対面する時はその場で自分のすべてを出そうとものすごい準備をしてくる。だけど日本人は会って満足、勉強して満足。話が進んでも「やっぱり止めます」とか普通にある。中国のビジネスパーソンたちは「札束を持っていって、この金で自分の会社をどう変えてやろうか?」と必死ですよ。
その意識を変えるのは一朝一夕にはいきませんし、まずは第一歩として繰り返しになりますが、具体的な案件なり想定している成果物なり「実」を持って視察に臨む、というのが僕からのアドバイスです。
今勢いのある国はどこも、実のある視察を通じて猛烈につながり始めていますよ。今変わらないと、中国などこれからの先進国との差はただただ開いていくだけでしょうね。