ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は27日、著名なアフリカ系米国人議員を批判し、同議員の選挙区があるボルティモア(Baltimore)を「ネズミだらけでめちゃくちゃ」と表現した。この発言を受けて、トランプ氏がまたもや人種差別を行ったとして非難の声が上がっている。
トランプ氏はツイッター(Twitter)で、政権批判で注目を集めてきた民主党のイライジャ・カミングス(Elijah Cummings)下院議員を痛烈に非難し、怒りをぶちまけた。
トランプ氏は、「カミング(Cumming、原文ママ)の選挙区は最悪。ネズミだらけでめちゃくちゃ」「全米で最も危険で最悪な場所」「あんなところに住みたがる人間はいない」とツイートした。カミングス氏が米メキシコ国境の難民認定申請希望者が劣悪な状況に置かれていると批判してきたことに対する反撃とみられる。
トランプ氏によるこきおろしを受けて、非難の嵐が巻き起こった。
下院民主党トップのナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、「公民権と経済的正義の擁護者、ボルティモアで愛されている指導者、とても高く評価されている同僚」に対する「人種差別的」攻撃だとトランプ氏を非難した。
ボルティモア生まれで、同市の元市長を父に持つペロシ氏は、「彼に対する人種差別的攻撃を一切認めない」と述べた。
■大統領再選狙い白人支持層にアピール
2020年米大統領選の民主党の最有力候補であるジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は、トランプ氏をツイッター上で直接非難した。
バイデン氏は、「このように彼とボルティモア市民を攻撃するとは、見下げ果てたやつだ」「あなたはまたしても、大統領の器ではないことを自ら証明してしまった。大統領とは本来、この国を引き裂くのではなく、引き上げなければならないはずだ」と記した。
2020年米大統領選の候補者6人も、同様の非難を行った。黒人のバーナード・ヤング(Bernard Young)ボルティモア市長も、トランプ氏の発言を「中傷的で危険」とはねつけた。
歴史ある港町ボルティモアは人口60万人。立派で裕福な地域と広範な極貧地域が併存しており、殺人発生率は全米最悪級となっている。黒人人口は、カミングス氏の選挙区の過半数、市全体の60%以上を占めている。
カミングス氏は、監視・政府改革委員会(Oversight and Government Committee)の委員長を務め、トップクラスの知名度を誇るアフリカ系米国人議員。移民収容施設における劣悪な処遇に関する報道など、トランプ政権の政策に関する調査を行ってきた。
トランプ氏は最近、有色人種の民主党女性議員4人に対し人種差別的な攻撃を行い、「犯罪が横行する」出身地に「帰るべき」と述べていた。しかし実際には、3人は米国生まれで、全員が米国民だった。これを受けて米下院がトランプ氏を非難する決議案を可決してから、まだ2週間もたっていない。
4人への攻撃は計算されたもので、来年の大統領選での再選に向けて準備が進む中、人種問題で緊張が高まる危険を冒してまでも、白人が大半を占める自身の支持層にアピールしようとしたものだとみなされている。
著名黒人議員の選挙区は「ネズミだらけでめちゃくちゃ」、トランプ氏またも差別発言 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3237246