伊藤詩織さん(30)が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から、性行為を強要され、肉体的・精神的な苦痛を受けたことに対し、損害賠償を求めた裁判。その口頭弁論が、7月8日、東京地裁で開かれた。午前10時から昼休みを挟み、午後5時半まで続いた審理は、詩織さんへの主尋問・反対尋問、山口氏への主尋問・反対尋問という順で進んだ。
反対尋問は双方、相手方の弁護士から行われるのだが、詩織さんへの反対尋問は苛烈を極めた。
例えば、以下のやりとりをご覧いただきたい。
(被告代理人)どうしたら、膝の怪我が起きるのか、教えて頂けますか。
(詩織さん)その夜は必死に、これ以上、性行為を続けられないように、必死に膝を閉じ、からだを固くして抵抗していたので。その際に、足を開かれ、揉み合いになった時のことだと私は感じています。
(被告代理人)揉み合いになっているのは、ベッドの上ですよね?
(詩織さん)はい。
(被告代理人)ベッドの上で、膝が擦れるようなことはないと思うんですけど?
(詩織さん)その時は、必死に、命の危険を感じながら争っているため、どこでどうなったか説明するのはできません。
以上のように、被告側の弁護士は、詩織さんに性行為を強要された場面を繰り返し問い、口頭で再現させている。反対尋問中、彼女が堪えきれずに涙し、声を震わせたのは無理もない。
生々しいやりとりに拒否感を抱いた数名の女性傍聴人が、昼休みに法廷の外で、涙する様子もあった。
(続く)