【6月7日 AFP】(更新)英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は7日、与党・保守党の党首を辞任した。これによりメイ氏の後任を選ぶ党首選が本格的にスタートした。
メイ氏は保守党に宛てた非公開の書簡で、ひっそりと辞表を提出した。メイ氏は新首相が選ばれる7月後半ごろまでは首相職にとどまる。
10月31日に期限を迎える英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐっては、メイ氏の後継を争うライバルたちが論戦を繰り広げているものの行き詰まりをみせており、メイ氏がEUと合意した離脱協定案も英議会で否決され続けている。
メイ氏はブレグジットの是非を問う2016年の国民投票後、首相に就任。以来3年にわたってブレグジットに取り組み、期限を2度延期してでも実現を目指してきた。
しかし先月、涙を見せながらついに辞任を表明し、敗北を認めることとなった。
メイ氏の後任争いにはボリス・ジョンソン(Boris Johnson)前外相をはじめ、現在11人の保守党議員が名乗りを上げているが、10日の推薦締め切り前に何人かは撤退するものとみられている。
しかし、ブレグジットについて新首相はわずか数か月でメイ氏の離脱協定案を引き継ぐか、再び期限を延期するか、英国の最も緊密な貿易パートナーであるEUから合意なき離脱をするか決断しなければならない。
後継候補はさらに、合意なき離脱を求めるEU懐疑派の急先鋒ナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏からのプレッシャーにもさらされている。ファラージ氏率いるブレグジット党(Brexit Party)は5月の欧州議会(European Parliament)選で第1党に躍り出ている。
メイ氏は今週、英国を公式訪問したドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を何食わぬ顔で迎えたが、トランプ氏はこの機を利用しジョンソン氏などの後継候補らと会談。英国の政治権力が今どこにあるのか、浮き彫りにする形となった。
トランプ氏はかねてブレグジットに対するメイ氏の戦略を激しく批判しており、訪英前には必要であれば英国は合意なき離脱に踏み切るべきとの見解も示していた。
2016年の国民投票では離脱派の主導的役割を担い、ブレグジットの方針をめぐるメイ氏との対立で昨年外相を辞任したジョンソン氏をはじめ、複数の後継候補が合意なき離脱に踏み切る用意があるとの立場を表明している。
しかし、有力候補の一人であるマイケル・ゴーブ(Michael Gove)環境・食料・農村相はブレグジット期限のさらなる延期にも前向きな姿勢を示しており、ジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外相は合意なき離脱について「政治による自殺」と強く批判している。
6月13日に最初の投票が行われる保守党党首選は、数回の投票を経て2人の候補に絞られ、7月22日の週までに新党首が決まる見通しとなっている。(c)AFP
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