「大相撲夏場所・13日目」(24日、両国国技館)
平幕朝乃山が関脇栃ノ心を寄り切って自己最多タイの11勝目を挙げた。物言いが付き、6分余りに及ぶ異例審議の末、行司軍配差し違えの“逆転劇勝”。横綱鶴竜が敗れて3敗に後退し、再び単独トップに立った。1場所で大関返り咲きとなる10勝目を“判定負け”で逃した栃ノ心は悔し涙を流した。
繰り返し流れた映像では栃ノ心の右かかとは土俵外で浮いているように見えた。取組後、日本相撲協会には抗議の電話が殺到。「じゃんじゃん来てます。鳴りやまない」と職員は対応に追われた。
軍配は栃ノ心。土俵際ですくい投げからの突き落としを狙った栃ノ心の右かかとが先に俵を出たか、朝乃山が先に落ちたかが焦点となった。5人の審判員の意見は割れ、土俵上で6分余りも激論を交わした。砂が舞ったとしてもビデオでも分からないほど微細。勝負審判の湊親方(元幕内湊富士)は「ビデオ室は足がついていないような話をしていた」と明かし、ビデオ室は軍配通りを“支持”したという。ただ最終的に決めるのは審判員の目だ。
最後は最も近くで直視し、物言いを付けた勝負審判の放駒親方(元関脇玉乃島)の意見でまとまった。同親方は「かかとが砂を連れてきたように見えた」と自身の目を信じた。
勝負審判長の阿武松審判部長は「ビデオ室(の判断)は審判の上にいかない。ビデオ室は迷っている声。断定はできないと。かかとが出ていると私は判断した」と説明。湊親方は「ビデオでは蛇の目とかかとの隙間は見えない。目の前が正しい。放駒親方の目を重視した」。相撲史に残る難解な判定となった。
https://www.daily.co.jp/general/2019/05/25/0012363303.shtml