美容医療などで広く用いられるヒアルロン酸には、細胞のがん化を抑える一方、がんの発症や進展を促すという正反対の二つの働きがあることを、東京大大学院の研究グループが発見した。新たながん予防や治療の開発につながる可能性があり、ヒアルロン酸の安易な使用にも一石を投じる研究成果だ。論文は9日付の米科学誌「デベロップメンタル・セル」の電子版に掲載された。
研究グループは医学系研究科微生物学分野の畠山昌則教授(62)=前北大教授、北見市出身=ら。同グループは、ヒトの正常な乳腺の培養細胞の実験で、細胞が合成し分泌する長いサイズのヒアルロン酸(高分子量ヒアルロン酸)が、細胞のがん化を抑える細胞内のメカニズムを活性化させることを突き止めた。一方、高分子量ヒアルロン酸が分解されて生じる短いサイズのヒアルロン酸(低分子量ヒアルロン酸)は、同じメカニズムを逆に不活性化させ、がん化を促すことが分かった。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/303575