地味なスポーツといわれてきたフェンシング界が人気獲得に向けて改革に動き出した。円形劇場で日本選手権大会を開いたほか、マーケティングなどのプロ人材を外部から公募した。目指すのはビジネス化、つまり稼げる基盤づくりだ。日本人初の五輪メダリストで、2017年から日本フェンシング協会の会長も務める太田雄貴さん(33)は新しい種目の構想も練る。狙いとビジョンを聞いた。
日本フェンシング協会の太田雄貴会長
――フェンシングの競技人口は日本に6000人しかいません。太田会長はこれを5万人に増やす目標を掲げています。そんなことが可能なのですか。
「これからフェンシングを始めようとする人たちにとって、なじみのあるスポーツにしていかなければなりません。そのために『フルーレ』『エペ』『サーブル』というこれまでの3種目に縛られない、スター・ウォーズのような世界観を持った第4種目を開発したいと考えています。スキーでもモーグルやハーフパイプのような新競技が五輪で採用されたように、フェンシングも現代に合った見せ方や競技性が必要だと思います」
――どんな種目になるのでしょうか。
「おそらく(自転車BMXやスケートボードなど)アーバンスポーツのように、『都心でできる』『ルールが分かりやすい』というのが重要な要素になってきます。現時点は、つくっては壊してというサイクルを繰り返していて、まだ全然だめですが……」
「この第4種目はフェンシングのビジネス化において肝となるでしょう。一番大きな収益源になる可能性があるからです。どれだけ安価に(プレー)できるようにして、一般に浸透させられるかが大事だと考えています」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO42454850U9A310C1000000